倉敷中央高校看護専攻科での2回のロールプレイ。
1回目は看護学生森さんとのロールプレイだった。
昨日、余命宣告を受けた患者竹内は麻薬を使うことを拒否している。
森さん「麻薬をなぜしたくないのか聴かせてもらえますか?」
その眼差しは深くて、思わずその理由を話していた。
すると、竹内を見る森さんの目から大粒の涙がこぼれ落ちた。竹内は森さんの手を握って言った。
「どしたのー?」そういう竹内も泣いていた。
森さん「辛かったですね」
2人で手を握りあったまま、少し泣いた。
森さん「何かしたいことがありますか?」
その言葉が、ぐっと私の深い部分に優しく触れた気がした。
「怒られるかもしれんけど(亡くなった)主人に会いたい」
ただ聴いてもらう。それがどれだけのものなのか。私は竹内という患者を通して、生きる力に触れた気がした。この人(森さん)がいるなら、もう少し生きてみたいと思えていた。
そして、足立先生のフィードバックだ。
「森さんが泣いたのは、あなたのこころの動きそのままです。看護学生としてだけでなく、1人の人として竹内さんに向き合って想いを引き出そうとしていた」
「観察学生から、オーバーテーブルに置いてある私物に触れてみたら良かったとありました。でも、気づいていないのなら、あえて言う必要はありません」
2人目は上田さん。
上田さん「麻薬をなぜ使いたくないんですか?」
竹内「、、まだ大丈夫かなあって」
上田さん「使いたくなったらいつでも言ってください。お友達さんは会いに来られてるんですか?」
竹内「今は無理よ」
上田さん「オンラインで会うこともできます。何かしたいことありますか?」
竹内「最後は家でお別れしたいから。帰って片付けしたいかなあ」
上田さん「病院にお願いすればお手伝いさんも準備できます」
もう耐えられなかった
あまりに普通に話す上田さんに、竹内は聞いた。
「余命宣告を受けたこと知ってるの?」
上田さん「そういう風に聞いたかなあ、、」
竹内は泣いた。「もういい!」
上田さんの感想だ。
「やらかしたなと思っています。僕の話し方が無機質だった。話題を変えないといけないと思って
、、麻薬を使ってもらうという目的が達成出来なかった」
足立先生のフィードバック。
「竹内さんの情報を時間をかけて読んだよね。まず竹内さんをイメージすることが欠けていた。こころに落とし込めていない。だから、どんなに取り繕っても表面的な会話しか出来なかった。そんな表面的なやり取りで、竹内さんのこころは開けない。竹内さんのこころに気づいて欲しかった。こころの動きをキャッチして欲しかった」
上田さんは泣いていた。
その上田さんにティッシュを渡しながら、足立先生は続けた。
「自分がどうかではない!患者さんを知ろうという姿勢です」
足立先生の姿勢にこそ、潔さを感じた。
看護教育にこんな先生がいてくれた!
こころ深くに刻んでおきたい。