20代の時だった。うんとこころが弱っちかった頃
自然食に没頭していた。
その頃、尊敬していた自然食の第一人者のおひとり東城百合子先生に会うことがあって
「太い根っこを育てなさい」と、言われた。
言葉をかけてもらったことで、ただ舞い上がって
いただけの私だった。
今ならわかる。
私が私を大事に生きるということだったんだなあって。
誰かに守られて、誰かに認められて、誰かに良し!と言われないと、私は私を粗末にするしかできなかった。
私の人生という根っこは、私が育てるしかなかったのにな。
桜の花を染色するとグレーになり
桜の木からこそ、ピンク色が染色できると聞いたことがある。その事がとてもこころに残っていた。
昨日、枯れた桃の木を掘り出し、残った木の根っこをとるという作業をした。
はっとした。根っこが朱色に近い濃い桃色なのだ。
こんなにきれいな色を纏っているのだ。
桜の木のことをすぐに思い出した。
深い土の中で誰に知られることもなく、こんなにきれいな柔らかい色が育っている。
なんてことだろう。
私は今、私を生きている。
「太い根っこを育てなさい」
その言葉が、こころの大事なところでちゃあんと育っていたんだなあ。