神戸大学5年生実習で、初めてSPにファシリテーターをさせてもらった。
「なんでいいと思ったんですか?」
「なるほどー」
「あの言葉で岡山さんはそう思われてたんだって」
言葉が響き合っていく様は本当にあたたかい。
一方通行にならず、それを繋げていくのがファシリテーターの働きだと改めて思った。
SPの価格交渉の場で、やり取りが生まれる。
予算の中で、一生懸命考えて下さっているのが充分すぎるほど伝わってきた。
「今までの演習のやり方を変えないで下さい。まずそこを大事にして、その次に予算の中で考えて下さい」思わずSP側はそう伝えていた。
「涙が出そうになります」
倉敷中央看護専門学校の時本先生が、ぽつっと言われた。
ただ、お金のことを話しているのではない。
こうして、想いを交わしながらやり取りをしている。そう感じた時、SPの働きを思う。
‘病気だけではなく、人として患者を全人的に診る。
その医療を目指して、想いを聴く医学教育に力を入れる。そのためにSPが必要だ’
このことを思い出させてもらう場となった。
また違う看護専門学校での演習打ち合わせにおいて、担当教員がSPに向かって言う。
「学生は繊細なので、ネガティブなことは言わないで下さい。ポジティブにアイメッセージでお願いします」
「ネガティブ、ポジティブではなく感じたことを伝えるのがSPです」
伝えても、やり取りは途切れる。まさに一方通行だった。
この打ち合わせで、演習で何を生み出そうとしているのか。
打ち合わせが終わって、仲間の1人が言った。
「なんで、今日は前田さんもっと言わないのかと思ってました」と。
そうかあ。そう思ってくれてたんだあ。
みんな同じ思いなんだなあ。
打ち合わせの時、言葉なくとも、仲間とはこころの中で響き合いながら、やり取り交わしてたんだよなあ。
それが何より何より嬉しかった。