やっぱりそうなんだ。そうなんだよね。

「ロールプレイをしたら、自分が知らない自分に本当に会えますか?」

看護学生にSPから伝えたいことを話した後、こんな質問があった。

「それは期待してくれてるという事ですよね」

学生「...。」

「何も思わないのと、そういう質問をしてくれるのとでは違うと思います。きっと自分の知らなかった自分に出会えると私は思います」

「私たちSPは、ありのままのその人に会います。決して判断したり判定したりしません。それを伝えたい」

思わずそんな事を続けて話している私がいた。

 

演習当日の始まりに、ロールプレイをしたいと立候補したのはあの質問をした学生1人だけだったと先生から聞いた。なんだか嬉しかった。

 

ロールプレイが終わって最後のまとめの時だった。

「さあ、どうだったでしょうか。自分もまだ知らない自分に出会えましたか?」

すかさず先生があの学生さんの名前を呼んだ。

「どうだった?」

彼女はゆっくり頷いてくれた。

いっぱいこころ動かして、きっといっぱい泣いたのだろうな。

まるでお風呂上がりのようで、柑橘系の香りがしてくるようなさっぱりした表情だった。

胸が熱くなった。

 

自分がまだ知らない自分に出会うことが、どんなに大変なことか。でも、出会えたって感じたられた時の途方もない嬉しさったら。

その学生がね、必死になって私に見せてくれたよ。