フィードバックの極意

看護学生とのロールプレイ。

彼女はずっと笑っていた。しどろもどろになりながらも、ひたすら笑っている。

ロールプレイが終わった瞬間、彼女は「やべっ」と声にした。笑いが起こった。

フィードバックで、観察学生たちは“笑顔”のことを伝えた。

「笑顔が良かった」

「ずっと笑顔で接していたので、私が患者なら話しやすいと思った」

そして、SPのフィードバック。

藤江(患者名)には笑顔とは感じなかった。何故笑っているんだろう?軽くあしらわれているように感じて悲しかった」

先生のフィードバックが続く中、私のこころが少しざわざわと波打っている。自分の中に少し怖さがあることも否めない。

その自分をゆっくりと感じながら、彼女にこころを向ける。

藤江さんの話を聴くより必死で自分がやりたいことにつなげようとしていた」

彼女の表情が初めて凛と見えた。

 

~愛とは他のすべての感情を体験できるスペースである~

随分前に私はその言葉を読んだ時救われたと感じたことを覚えている。

 

感情をありのままに感じることは容易なことではない。まして否定的と言われる怒り、悔しさ、悲しさ、そんな感情は思わず隠したくなる、その本能がある。

 

SP学は、感情を出せと言っているのではない。

反応していることを認めることだ。

その反応を生み出す感情にどこまでも向き合うことだ。

 

ロールプレイで否定的な感情が動いた時こそ

自分に向き合う。

その繰り返しが、自分の感情を許し認めていくことだと思う。

 

フィードバックの極意があるとしたら

自分の感情を許し認める。そこだと思っている。