栄養学科での病棟訪問場面のロールプレイ。
ドアを開けて入って来た学生が
パソコンに映った患者に声をかけるところから始まる。
忘れられない学生に出逢えた。
その学生が「こんにちは」と声をかけてくれた時
私はまさに病室にいた。
“どうぞ話を聴かせてください”と、気配から伝わってきて
すでに込み上げた。
私を覗き込むようにして、学生の言葉が続いた。
「いいお天気ですね」
「そうねえ」
「紅葉がきれいです。窓から見られましたか?」
「ほんと。きれいやね」
学生と私は一緒に窓の外に広がる紅葉を眺めていた。
同じ場所にいる。
傍らにいてくれる。
それがどれほどこころ強く、そしてあたたかいのか。
思わず患者のつらさがこわさが言葉になっていく。
いつしか涙が溢れた。