年に2回参加している。
今年2月のロールプレイの時だった。
SPのフィードバックが終わるか終わらないうちに
遺伝カウンセラー役の彼女は泣くのを必死で抑えながらいきなり退室した。
それから、山内先生がつきっきりで30分近い時間が過ぎた。結局彼女は戻らなかった。
山内先生は帰った方がいいと判断したらしい。
それから8ヶ月、今回も参加される彼女のことが
正直心配だった。
でも彼女はとても自然体だった。
小さな声で「2月はすみませんでした」と言うその表情は思いのほか柔らかかった。
ロールプレイでそれはそのまま生きていた。
遺伝カウンセラー役として中心が立っていることに、驚きもあった。
演習が終わって
「頑張ったねえ。すごいよー。正直心配だったよー!」SPが口々に言葉をかけた。
彼女は何度も頭を下げた後、マスクをした口を手で覆いながら言った。その言葉は小さいけれど凛と響いた。
「あの時は覚悟が足りませんでした」
泣けた。