看護学生たちにこころから感謝を伝えたくなる。

余命3ヶ月を本人に言わないで欲しいと家族に言われている。

看護学生が、その青山さんと出会う場面。

「気分はどうですか?」

「気分は悪くないよ。体調は悪いけどね」

「それは体調が悪いので、気分も悪いのでしょうか」

質問に答える度に、返される言葉が分析されてるように感じ始めた。

「何か探ってるの?」

「そんな風に思わせてしまってすみません!」

「あやまることじゃないよ。私本当は良くないんでしょ?家族もみんな私に嘘をついてるよね?」

「良くないってどういうことでしょうか?そんなことを思わせてしまって、、」

看護学生は必死に言葉を繋げた。

「申し訳ないね。そんなに慌てさせて」

ロールプレイが終わった瞬間、学生は頭を抱えた。やっと解放された感じに見えた。

 

「探りを入れられていると言われてどうしようかと思った。そんなつもりはないのに。青山さんが感情を表出された時に、嘘をついてはいけないと思って慌ててしまった。そうしたら青山さんが申し訳ないと謝られて。困ってしまいました」

 

「青山は探りを入れられていると言ったのではなく、何か探ってる?と言ったんです。それは私のことを本当は知っているのに言えないんだな。ごめんね。そんな気持ちでした。だけどあそこで謝られたんです。そうじゃなかった」

「申し訳ないって言ったのは、こんな私の前に来てくれて大変だろうに。ありがとうの気持ちです。それでもまだ言葉を返された。もういい。ただ、立ち尽くして欲しかった」

 

看護学生の最後の感想。

「言葉の裏にある部分があることを知りました」

 

最後に全体でのまとめで学生達の感想を聞いた。

「この演習で気づけたことです。ありのままの自分で話す。患者さんと向き合ってその場の患者さんの気持ちを感じること。そして、一歩踏み込む勇気を持つということ」

「患者さんのことを知りたい。それは何かをするというよりも、ただ聴く、聴くに徹するということが大事なんだと気づきました」

「関わることをあきらめないでいたいと思いました」