静岡県立大学歯科衛生士学科の授業にて。

女子ばかり40人の学生の中で

「SPさんとのデモンストレーションをやってみたい人!」という吉田さんの問いかけに

誰も応じるはずがないと思っていた。

と、「はいっ」と1人が小さく手を挙げた。

そして続けてもう1人。

もう奇跡だ。

「7分計りますが、途中でもう終わったと思ったら、終わりましたと手を挙げて下さい」

と、吉田さんの言葉の後デモンストレーションが始まった。

姑の世話が忙しいので早く虫歯治療をして欲しいという高井さんという役。

3回通って虫歯治療が終わりました。

次は歯周病の治療に来るように、歯科衛生士から高井さんに話してくださいと歯科医師に言われました。さて、どう関わるか?という場面。

学生の目はキラキラしていた。

私をしかと見てくれて、ただ言葉だけが走って行く感じで、歯周病が進むとうんぬんかんぬん脅しのような話が続いて。

「お忙しいんですよね?」

「年寄りの世話してるからね」

「時間の調整できませんか?」

「えっ?」

「3ヶ月に一度でいいです!」

「3ヶ月に一度でいいの?だったら来れるかなぁ」

「ありがとうございます!!」

学生は続けて「終わりました!」と、手を挙げた。まだ3分も経っていなかったと思う。

「えっ?終わり?」

吉田さんの声と共に、私の驚いた表情も隠せなかった。

学生は叫ぶように言った。

「来てもらうことが目的なんですよね!」

その言葉を吉田さんに向かって言うと、今度は目の前の私に繰り返し聞いてきた。

「来てもらうことが目的なんですよね?!」

なんともはや。

 

SPのフィードバック。

「目がキラキラしていたのが印象的だった。私をしかと見てくれている。でも、言葉だけが走って行くようで、あれれれぇと少し慌てた。あっという間の時間だったけど、そのキラキラした目の〇〇さんともう少し話したかった高井です。いま、何か健康食品を買わされたような気持ちがしています」(笑)