後悔を生き直すことができる。

総社から来た桃太郎線に爆睡している人がいた。

このままだと、また総社に向かうことになる。

起こそうかどうしようか迷っていると、1人の青年が、その人にサッと駆け寄り「岡山ですよ!」と、伝えていた。その人は「ありがとうございます!」と、言い残して電車を降りて行った。

ほっとしたと同時に、小さな罪悪感も残った。

あれから何ヶ月経っただろう。

桃太郎線で、また同じような場面に出会った。

岡山を出発するまで20分ほど待つ間

長~い席の端に座って、真ん中辺りで爆睡している青年を何度も確認した。

「誰か起こしてくれんかなあ」「なんとか自分で気づかんかなあ」願いながら確認するけど、イヤホンをつけたまま、斜めにずり落ちそうになっても起きそうにない。

何度も何度も葛藤していたら、出発まであと5分になった。乗客もどんどん増えてきた。

「また同じ繰り返しをしたらいかん!」

ふっと身体が動いて、青年の前まで歩いていた。

そして、青年の膝をぽんぽんと叩いた。

瞬間、青年はハッと目を覚まして、すぐさま私を見た。「ありがとうございます!」そう言って電車を飛び降りて行った。

そして、その席が空いたので再び座れた。

生き直すことができた!

そう思えて、なんとも清々しかった。