SP参加による複数受け持ち患者の看護実践演習。

医療センターで今年度も実施された。

コロナ禍の中、いったん延期され

国家試験2週間前という、看護学科3年生にとっては厳しい時期での演習となった。

 

片麻痺の岡山さんのところに足浴をしに学生はやって来る。

その学生は道具を乗せたワゴンを左手で押しながら、右脇に大きな枕を抱えていた。その枕がずり落ちそうになっていた。

それでも学生の真剣な表情に、ふっと笑いが込み上げた。

 

ある学生は、バケツに入った足浴用のお湯に

何度も温度計を入れては、お湯を足し続けた。

頭を傾げながら必死な様子が伝わってきた。

その後ろ姿を見ているだけで込み上げた。

 

ある学生はロールプレイが始まる直前まで、グループの同級生と、ああだこうだと言いながら準備をしている。ロールプレイが始まった瞬間の真顔が今も愛しく忘れられない。

 

この学生達のロールプレイの時、4人部屋の患者達が繋がっていくのがわかった。

大丈夫かなと隣人が気になった。

ふっと笑顔で患者同士挨拶を交わしたりしていた。

 

この学生達に共通することがある。

あっ!と、気づいたら、そのまま反応して行動しているのだ。

「あっ、どうしました?!大丈夫ですか?!」

「あっ、ごめんなさい。ちょっと待ってくださいね」

「あっ、どうしよう」

 

1日目の演習のまとめの時に、SPの代表として感想を伝えた。

その時に思わず言っていた。

「反応は愛だと思います」

 

2日目のまとめの時

「1年生の時にもお会いしました。みなさん、SPの役割、覚えてますか?」そう問いかけると

何人もの学生がすぐさま「はいっ!!」と返してくれた。少し思いがけなくて、照れるほど嬉しかった。

そして、最後に締めくくった。

「患者を思えばこそ、こころが動くんです。反応するんです。だから隠さないでください。その反応を大事にしてあげてください」