共に生きているという実感。

その看護学生は明らかに、役に入っていなかった。関わってはもらっていても、まるで無関心のように感じる場面もあった。

ロールプレイの後の学生の感想だった。

「気づかなかったことで患者さんを不安にさせた。もっと気づかなければいけないと思った」

振り絞る想いでフィードバックをした。

「すみませんと言われ始めた時、やっと高橋さんを感じました。やっぱりしんどいですか?と問われたんですが、しんどいのではない。こんなに雑に扱われるのか。この片麻痺の身体を。片麻痺の私はこんなにも迷惑をかけなければいけないのか。私は感じたんです。みんな辛がっている(4人部屋設定)でも、高橋さんは放棄している。何度も気づかなければと感想で言われたけれど、高橋さんは気づいています!気づいているのならば動いて欲しい」

 

演習の最後に、SPを代表して伝えた。

「否定されたと感じているかもしれません。でもそんな場ではありません。むしろ皆さんを肯定したい。人は苦しい時にしか自分を振り返れないという習性があります。だからこそ、この演習で自分のこころを見出し、こころを実感し、そして、こころを立て直していって欲しい」

自分でも、いつも以上にすくっと立っている気がした。

 

演習が終わってから、担当の先生が近づいて来られた。

「あれから、少し落ち着いた様子を見て、高橋さんにどうだった?と改めて聞きました」

「悔しい。これが私の実力でした。皆さんに申し訳なかったです。と。SPさんに伝えたいことがある?と聞くと、頑張ります!と返してくれました」

 

こころを見出し、こころを実感し、こころを立て直していく。

まさに高橋さんはその中を生きている。

SPもその縁となり、SPである私もその中で生きている。