「失礼します」と顔を見せた若者は
マスクの上の優しい眼差しが印象的で。
でもそれ以上に白地に黒の柄模様の開襟シャツがいなせな兄(あん)ちゃん風で。えっと思ったけど
あっ、そうか看護学生なんだと取り直した。
珍しく学生が白衣を着ない演習だったゆえに、見た目に揺さぶられた。
そして、会話が始まると作ってきたパンフレットを私に見せながら説明が始まった。
ロールプレイが終わって、その男子看護学生の感想は「作ったパンフレットを説明するだけで自己満足だった気がする。何か話されるとそれに返す解答はなんだと言葉を考えてしまった」
フィードバック「そんな風に考えてたんですね。でも、その目がずっと聴いてくれてたよ。ぐずぐず言いたくなったもの。何も返せんでも、聞かせてください!ってそれだけでもいいよ」
その瞬間学生は両目を両手で覆った。
「そうでした」漏れるようにつぶやく声が聞こえた。
この看護学生、本物につき。