バトンを渡していく作業。

桃の“まぶき”作業は、ちょっとつらかった。

芽を取るというのは、ましてや少し実となってきた物のまぶきは、なんだか切ないくらいで。

でも、いつしか、命が繋がっていくんだと思えるようになっていた。

それはきっと、桃のありのままの命に包まれていたからだろう。

命が命にバトンを渡していく作業。

「頼んだよ」という想いを持って、今はまぶきができるようになった。

そんな時、あるご縁から20代30代の青年たちが、桃作業に加わってくれることになった。

彼らは、桃の作業の丁寧さだけでなく、とても自然に生きていて、なんとも自然な気配で存在している。

「彼らはSPに向いてるなあ」私の中でそんな想いが生まれていた。

そしてその想いは「SPになって欲しい。SP学を引き継いでいって欲しい」という強い願いに変わった。

なんということだろう。

桃の下で、私はSP学のバトンを渡したい青年たちに出会えていた。