倉中看護パート1 黒瀬さん

腹水が溜まって、余命短い福山さん。

必死でトイレに行こうとする場面。

学生の黒瀬さんは、ロールプレイの後の感想で

「いい感じの言葉選びが出来ない」と言った。

振り返った時、2つの場面を思い出した。

薄いストールをお腹の上にかけていた。

入院する前に還暦のお祝いをしてもらって

主人にもらったプレゼントだ。

1つ目の場面だ。

「このかけてるのは?」黒瀬さんはたずねた。

あのね、と答えようすると

「寒いからですか」と、続いた。

2つ目の場面。

「娘さんが来られてるんですね?」

「会ってる時は冷たいもんよ。後からLINEでごめんなって。でも、やっぱり会うとね、、」

「楽しい?!」

 

言葉なんか選ばなくても、黒瀬さんは福山に思わずきいてくれてるよ。

だのに、そこから聴いてくれてなかった。

きいてくれる黒瀬さんに話したかったよ。

2つの場面と一緒に、その想いをフィードバックした。

 

黒瀬さんの最後の感想だ。

「上辺だけのコミュニケーションだった。本当は深くききたかった」

 

黒瀬さん

福山がベッドから立ち上がる時

黙って待ってくれた。

その時の気配に込み上げたんだよ。

言葉なんかなくっても、気配はあたたかかったんだよ。

f:id:spjunko:20220604101426j:image