腹水が溜まって、余命短い福山さん。
必死でトイレに行こうとする場面。
学生の黒瀬さんは、ロールプレイの後の感想で
「いい感じの言葉選びが出来ない」と言った。
振り返った時、2つの場面を思い出した。
薄いストールをお腹の上にかけていた。
入院する前に還暦のお祝いをしてもらって
主人にもらったプレゼントだ。
1つ目の場面だ。
「このかけてるのは?」黒瀬さんはたずねた。
あのね、と答えようすると
「寒いからですか」と、続いた。
2つ目の場面。
「娘さんが来られてるんですね?」
「会ってる時は冷たいもんよ。後からLINEでごめんなって。でも、やっぱり会うとね、、」
「楽しい?!」
言葉なんか選ばなくても、黒瀬さんは福山に思わずきいてくれてるよ。
だのに、そこから聴いてくれてなかった。
きいてくれる黒瀬さんに話したかったよ。
2つの場面と一緒に、その想いをフィードバックした。
黒瀬さんの最後の感想だ。
「上辺だけのコミュニケーションだった。本当は深くききたかった」
黒瀬さん
福山がベッドから立ち上がる時
黙って待ってくれた。
その時の気配に込み上げたんだよ。
言葉なんかなくっても、気配はあたたかかったんだよ。